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組織概要 About us

桶仕込み保存会趣意書

喜びの席で、歓声とともに割られる祝い樽。そろりと口に運ぶ枡から漂う、酒の香り。木の国・日本で育まれた日本酒には、木と重なりあうイメージがあります。酒と聞けば、大きな木桶がずらりと並んだ蔵の風景を思い浮かべる人もいるでしょう。
しかし、このことにどれほどの日本人が気づいているでしょうか。
そうした桶の風景が、博物館や時代劇のセットにしか、もはや存在しないということを。
戦後の高度経済成長期、酒を仕込んだり貯蔵する木桶は、ホーローや合成樹脂のタンクへとって代わられました。酒桶の減少は、効率と「衛生」を追求する社会の要請に応じた変化でもありました。
酒の大桶は、単なる「旧時代の、大きな容器」に過ぎないのでしょうか。
木は呼吸をします。木肌に自然に穿たれた無数の孔に棲みつく微生物は発酵に影響を与え、桶ひとつひとつに独自な味わいをもたらしました。それは両刃の剣で、悪い菌が勢いを得ぬよう蔵人が心がける桶の手間も大変なものでしたが、そこには人智を超えた微生物の働きと、長年の経験に培われた職人の腕とがせめぎあう醸造の小宇宙があったのです。
しかしその技術も、わずか四十年の空白の果てに、もはや失われつつあります。実は酒以外の味噌や醤油、酢などの業界では、今も木桶を使う蔵が辛うじて残っています。木桶仕込みでなければつくれない味わいがあると、認められているのです。ただそれも、今ある桶の寿命が来れば、存続の危機を迎えかねません。桶づくりの技術を受け継ぐ桶師の世界も、後継者難に直面しています。これも時代の趨勢なのでしょうか。
ここにいま、志ある幾つかの酒屋が集い、桶仕込みを復活し始めました。今やほとんどの日本人が知らない桶仕込みならではの酒とは、どんな味なのか。ホーロータンクでの仕込みしか知らない若い杜氏たちも、酒づくりのロマンを追求しようと、新たな挑戦として桶仕込みを始めているのです。
私たちはこの動きを、単なる日本酒業界の新商品づくりに終わらせたくはありません。むしろ、桶が擁していた技術や人のつながりを見つめなおし、桶づくりの材料確保、消えつつある道具の収集、桶師への支援と若い職人の育成、桶研究への支援などをはかりたい。酒屋にとどまらず味噌、醤油など他の業種や一般の方々にも開かれた現代的なネットワークづくりにつなげていければと願っています。
ほんの半世紀前の日本には、酒屋が使った桶を味噌、醤油屋さんが使い回すという循環の輪があったといいます。一時のブームでモノを生産・消費するのではなく、歴史に根ざした新しい風景や文化をつくり、循環型社会を志向していくきっかけになることを期して桶仕込み保存会を発足します。

法人名
特定非営利活動法人桶仕込み保存会

事務局所在地
381-0102 長野県長野市若穂保科4455
電話番号:026-214-6282
ファクシミリ:026-214-6289

代表理事
セーラ・マリ・カミングス

事務局スタッフ
小杉亜依 / 三石有花



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特定非営利活動法人桶仕込み保存会
381-0102 長野県長野市若穂保科4455 tel 026-214-6282